部屋の窓から見えるもの

 部屋の窓から見えるものを紙に書き並べてみた。なにをもって一つとするかは、個別の印象ごととして、例えばその家がよく見えるのでも、その窓が家とは別の印象を与えていた場合、紙には家と窓の二つを書く。また、色や形やその場所を少し書いたりもした。近くのものは見慣れていてすぐにわかるが、普段は見ることはない遠くのものは詳細に書かなければどこにあったか忘れてしまう。住宅地であるから家以外は大して見えないと思っていたが、こうして窓から見てみると、家と家の間のすきまが、その向こうの家と家の間のすきまを通して、かなり遠くまで見える。弟の趣味の星座観測のための簡易望遠鏡を借りてその方を見てみると、普段は川の方でしか見ることのない観覧車のある遊園地の中のデパートのような建物の屋上で、ピンク色のボールを右手で(このとき、望遠鏡をのぞき込むことで一瞬鏡のように右と左を逆に思いそうになった)はねて遊んでいる女の子が見えた。屋上にはあまり何もあるようには見えない。偶然その女の子が見えたが、焦点を合わせるのは難しく、一ミリずらすだけでも近くの、あるいは少し遠くの家の壁などが入り込んでしまう。望遠鏡特有の、車酔いのような気持ち悪さにならないために、そのままで少し目を離して、一番手前側の空き地のようなところにある木々や草をしばらく見てからまた目をあてたら