神がかり的

 意図的に人を殺すよりうっかり殺してしまう方がわるいことだと思っていたとKは言った。彼はせかいのうちの一人として生きている。彼にとって意図は流れのとおりなのだろう。うっかりは流れから外れることなのだろう。
 能動も受動も、大げさに言うと〈神がかり的な〉能動と〈神がかり的な〉受動がある。何かを受動/能動するとき、人はふつう即物的にしか考えない、というか至らない。あれを、こうする。これを、ああされた。神がかり的であると、あれを、こうする、を含むおおきなせかいにまで至る。これを、ああされた、を含むせかい。Kは常に神がかり的で困っている。どうすれば人に戻れるのか、考える必要がある。