鶴見俊輔と岡部伊都子の対談

 鶴見俊輔岡部伊都子の対談を聞いた。文字に起こすことではつたわらないものをつよく感じた。岡部伊都子の話のその声は、僕の父方の祖母と似ていた。娘や息子のことを思うように、戦争についての体験を話していた。悲しそうだと、聞いていて悲しくなる。心配しすぎることをわずらわしく思いながら、どうにもならないいとおしさがある。彼女は、子どもの頃に病気で、死ぬと言われていた。病院のベッドの上でじっと一人でいた。「学歴はないけど病歴はある」学校で押し付けられた勉強から得るものよりも、病気の最中に得たもののほうがつよいものがある、と鶴見俊輔は言っていた。
 鶴見俊輔のように体験をもとに考えることから得たたしかなことだけを話したり書きたい。自分のなかで少しでもあいまいであるものに、そうと気づかないふりをしないこと。