いること

自分がいるように人もいる。こうしてたくさんいる駅構内の次から次へ行きすぎてゆく人たちの1人1人が僕が1日を誰とも会っていなくてもたしかに生きていてここにいるようにいるということ。僕は人たちを目で追い、そのうちの5人くらいのその人らしさを見たつもりだ。ほんの少し、その人になりきったつもりになって、そのときに僕が死んだとしても別によかった。

後ろ姿というのは不思議だと思った。自分では見ることはできない。前を歩く人の後ろ姿を見てみる。何かがわかってくる気がしてくる。

シャッターを押した。