ぼくはその土にきらやかな水を落とした。美しい、と通りすがりのお婆さんは言った。私はもうじき死んでしまうけど、それはうつくしかった、と言って、山の方へ去っていった。コンクリートの道である。だが、とても古く、それは土のようだったと言っていい。家の塀を越えて花が咲いていた。ほとんど誰も、その花を見なかった。つらいのは、いつものこと、と少年は言った。花は、とっちゃいけない、と言った。靴は、あまり汚れないように、ぼくたちはそれぞれの家に帰ろう。あの家に帰りたくないと言う。でもその家はほんとうの家じゃないんだ。君はたった一つのたいせつな家を故郷に持っていて、いつでも帰ることができるよ。