そう、どこからか電話のベルの音がして、目を覚ましたぼくらは、いつのまにか月の話をしていた。そうして過ぎてゆく時間のなかで、目に見えないものを触ろうとして、それは拒絶され、あえなく失速し、意気阻喪し、重要文化財の隅から、時計が跳ねてやってきた。友達の音、しずかな蛍光色、意味不明な言語から紡ぎ出されるリズム、発光する染色体、世間体から外れて、最悪なものの陰から、飛び出す連続体、そう、と彼は頷いた、そこに全てがある、そこに全てが。