写真

1枚目の写真は、道を歩く女性の後ろ姿を撮ったものです。歩いている人というのはその場所へ行くためにただ歩いているというような、単調な感じがしていたのですが、僕の前を歩いていたこの女性を見たとき、何かのことを考えたり、あるいはさみしいとか気だるいと思っているような、そんな感じがしました。本当は、他の人たちも一人一人こうしてよおく見ると、けっして単調ではないのかもしれません。結果、写真としては大したものにはなりませんでしたが、このときに気づいたことを写真を見ることで思い出すことができます。大した写真より、ありふれた、でも撮った人にしかわからないものがある写真の方が、少なくとも今は良いと思えます。

2枚目の写真は、竹が密生したものです。いつも歩く道の途中にあります。竹は冬でも、やや褪せてはいますが緑の葉をつけています。この竹の前にくるといつも立ち止まって見てしまいます。どう言うこともできませんが、ずっと見ていたいと思います。いつかこの竹がなくなったとき、この写真を見ることで、ここで毎日立ち止まって見ていたときの感じをきっと思い出すことができるだろうと思います。

3枚目の写真は、これもいつもの道の、小さな工場の道側の花壇に植わっている椿です。椿の花も一つだけ中心よりやや上側に咲いていますが、しなびていて、それよりも画面の全体にあたるこの椿の葉の方が印象的でした。見るたびに、椿の葉のこの照りはなんだろうと思います。日が出ているとき見ると、辺りの植物から浮き出たようにも見えます。

竹や椿に限らず、どんな植物でも、見れば見るほどおもしろいものがあります。