山に向かって垂直に道があり、行くにつれて山の表が次々に見えてくる。今年の冬の木々は暖冬のせいもあり見応えがある。紅葉している木々がまだ残っていたり、冬でも緑色の木や、色あせ枯れているような茶色の木々と、さまざまな色だ。一方通行で、他に道もなく、人気もないので、車を運転しながらずっと前方の山を見ることができた。行くにつれて山が一目には収まらなくなるが、その分木々の一本一本がよく見えてくる。頂上に近い、緩やかな斜面のところに小屋があるのも見える。山を登っている人の後ろ姿もかろうじて見える。三人か、そのくらい。山のやや左端が相当な急斜面になっているが、彼らは右端の、それでも急な斜面を登っている。ふかふかな赤茶色の土の表面がよく見えるので、そこに生えている杉の木々はついさっき植えたばかりのようにも見える。きっと彼らのうちの一人くらいは杉の木にしがみついて休むこともあるだろうが。ーー山に、車がぶつかりそうなときにはっと運転中であることに気づいて、ブレーキをかけた。