吉本ばなな「N・P」

 吉本ばなな「N・P」について、いくつかメモをしておこうと思います。まだ60ページほどしか読んでいませんが、この段階でのメモを、読み終えてからしか受けることのできないものの、芽となっているか、予感があるか、あるいは、まったく別のことになっているか、など、この本から受けるありとあらゆるものを、さらに深くするための、気づき、として、役に立つだろうと思ったからです。

・小説内での、複雑な家族関係から、著者自身の、つまり吉本隆明を父とする家族におけるもの。吉本隆明が、学生のときだったか、寮で仲の良かった友達と同じ部屋になったときのことから、僕には少し、同性愛的な傾向が少なかれあるだろうと、今になってみると思う、と講演で言っていたことがあった。また、子どもの幼少期までの教育について親が50%以上うまくやれていれば、子どもはしっかりと育つんだ、というような話から、・・・ここまでにしますが、このようなことです。

村上春樹の「風の歌を聴け」と比べて読むのも、おもしろいかもしれない。

・夢と現実の境目のなさと、回想の中の回想、というような、時間のあり方。

・会話のカギカッコのあとに「私は言った。」「彼は言った。」と書くこと。

・高瀬皿男という作家が書いた「N・P」という本について「まるで散文みたいなごく短いストーリーを次々にくりだされる本だ」と説明している。吉本ばななの「N・P」についてもある面では同じことが言えるということ。でも、物語が立ち上がっているということ。

 これから続きを読みます。