片岡義男の『窓の外を見てください』を三分の二ほど読んだ。その前に読んでいたカフカの『巣造り』も読み終わった。『巣造り』に関しては、もう十分感想を書いたので、『窓の外を見てください』について書こうと思う。『窓の外を見てください』は、駆け出しの小説家が主人公で、短編小説集を書くために、三人の女性に会いに行くところから始まるのだが、この小説家の小説の書き方が、取材から始まったり、構成を考えたりするなど、おそらく片岡義男本人の小説の書き方が投影されているようなのだが、読んでいて、ぼくの小説の書く動機とはまったく異なっていて、その違いがおもしろく、ある意味で参考になると思った。また、この小説はメタ・フィクションらしいのだが、ぼくがいま書いている小説もおそらくメタ・フィクションで、ぼくは書くということが、書く中に及びながら、書く外にも及んでいることに、恐怖感があり、鏡の中にうつる鏡の中にうつる鏡、といった具合に、書くことの連鎖は果てしなく続くことを書いているのだが、片岡義男はとても自然にメタ・フィクションを書いている。残りの三分の一でどうなるのかは分からないが、おそらく自然なままに終わるのだと思う。ぼくはこの小説を読み終わったら、読みかけのままでいるベケットの『モロイ』を続きの第二部の途中から読み始めようと思う。モロイの第二部は、最初は、理路整然としていて、退屈なのだが、これから第一部のように訳が分からなくなってゆくらしいので、楽しみである。『モロイ』が読み終わったら、残っているのは『カラマーゾフの兄弟』と『羊をめぐる冒険』で、それらを読み終わったら、親友が書いた『夢』を再読しようと思う。