なにもないことについて書いている。なにもないということがどういうことか書いている。小説というかたちを持っているが、それさえも崩れて、なにもなさに吸いこまれる。壁がある。壁がない。あるとないの反復。あるとないの中間点はどこか。それをからだでふれることはできるか。だれかがどこかでさけびだす。そのこえも所在のわからないまま消えてゆく。