なにもないところで、なにを考えるのか考える。考え始めた途端にその考えは氷がとけるようになくなる。それでもめげずに考え出そうとしてみる。あ、あ、あ、と声にならない声で何かをあらわそうとする。あ、あ、あり、ありくい、ありのす、ありじごく。するとそれらがなにもないところで立ち上がろうとしたところで失脚する。あ、あ、あ、とまた声にならない声を出そうとする。その声もすくい取られてしまう。なにが敵なのだろう。なにかが敵なのだ。あ、あ、あ、そのまま崖のようなところからすっと落ちてゆく。落ちてゆくこともすくい取られ、横たわっている。横たわっていることもすくい取られ、ここにただいる。ただいることがふしぎで、そのまま消えいりそうになる。手を伸ばす。手がない。消えいる。それさえ消え、消えいらない。それさえ消え、消えいる。