血をぬぐうように拭いて、ひかる表面を指でなぞる。ご覧の通りわたくしは、体が半分機械になった、その体で湖に落ちたんだ。書くことだけでは震えない、地殻変動が刻まれる、空高く、思うものもなく、明らかなことは確かで、自由の競争が行われる、ほら、見て、と幼児に視線をうながす、星が、一つ、落ちてきた。でも消えそうになっていて、君が手に取れるか、わからなかったんだ。紫色のカーテン、熟したみかん、友達たちが笑ってる、湖の中は、当たり前だが水にあふれ、しらさぎも一緒に溺れていた、ぼくは、それでも平気だったんだ、曇り空が割れて、そこからぼくを救う神が降りてくる、でも神は、湖の中には入らない、神は手をかすかに動かすと、空のように湖も割れ、そこで横たわるぼくを見出した、神は手を差し伸べる、ぼくはその手に触れようとする、でもそのとき、キーンと音がして、空間が割れ、そこから悪魔が出てきた、悪魔は神を見ると、神に手をかざし、神はみるみるうちに小さくなって、消えてしまった。そしてぼくの方を見た悪魔は、ぼくに神のように手を差し伸べる、ぼくは無意識に悪魔の手をつかんでしまう。でもぼくは、悪魔に負けない、悪魔の手を引っ張り、その手を素早く口にくわえ、ぼりぼりと食べてしまう、だってわたしは機械だから、そして驚いた悪魔の顔も食べて、全部食べて、お腹いっぱいになる、ぼくは湖の底から浮いてゆく、そしてそのまま地に降りて、歩き出す。何かが始まる予感がある、その何かを待っている、何かを。