手が腐ってゆく、その手でひかりに触れる、あたたかい、でもつめたくもある、その手できみに触れる、きみは微笑んでぼくの手を取り、口づけをする、ぼくの手は落ちてしまった、体から、そしてぼくの内部が漏れ出してゆく、やがてそれは氾濫になり、とめどなくあふれ、ぼくは姿形を失った、あるのは言葉の氾濫だ、叛乱でもある、重いもの軽いもの、苦しいもの楽しいもの、そんなものたちが叫び合う、可能な限り、そして山から日が昇る、日がすべてを照らす、ぼくの氾濫はうつくしく輝いた、それはやがてしぼむようにおさまった、死んだのだ、ぼくが。それでも続くものは続いた、いつまでたっても出来損ないは出来損ないだが、それでも変わるものはあった、それが良いことなのか悪いことなのか確かめることはできない、確かめる人がいない、もうぼくはいない、ぼくは。日が天高く昇る、照らされたものは照らされなかったものを超える、逆だ、照らされなかったものは照らされたものを超える、そして逡巡する、何もかもを、言語を、その未来を。