瓦礫の山の中で、ぼくは埋もれていた。きみが見つけてくれるまで。でも、誰も来なかった。だからぼくは自力で瓦礫の山から出てこなければならなかった。二年経った。あれから少しも変わっていない。嘘みたいに変わっていない。でも着実に衰えてゆくのだ。本が読めない。苦しいから? 苦しいなんて言っちゃいけないよ、じゃあなんと言えばいい? なにも言わないで、ほら。するとぼくは窒息するみたいになって、死んじゃうよ、と言った。そのとき、あの光が見えたんだ。でも一瞬だけで、その一瞬が永遠みたいに感じられたけれど、今ではもうどこにもない。誰かのものになってしまった。そう、かつてはぼくの光だった。今では違う、誰のものだろう? 誰のものでもないのかもしれない、もうそれは、どこにもないのかもしれない。それでもぼくは探したかった。探そうとした。でも体が動かないんだ。もうじき死ぬ、と告げられた。ここは病室で、窓からは白い壁しか見えない。あと何日、ここにいるだろう。死んだら少しは楽になるかな? ありきたりな言葉の連なり、どうしようもない欠落、それぞれの行く末を知りたくても、手は届かない。どうして、どうして。
 ぼくは破裂するように死んだらしい。それがぼくの願いだったらしい。血が流れ、川になり、その中を泳いでいると、見たことのないものがあったので、触れようとすると、逃げてしまった。二度と関わるな、と言われたみたいだった。ついさっきまでは新鮮に輝いていたのに、ぼくのひと言のせいで、すべてががらりと変わってしまった。ぼくは、ひとりで、なぜか涙が出てきて、そんなありきたりなこと、と思いながら、ティッシュを何枚も使ったのだった。