書くということ

 書かなければ、なかったことになる、それはほんとうか、なかったから、あったということではないか、書くということが、わからないことから始まる、そしてその先を見つめる、それも消えてしまうのか、消えてなくならないはずだ、なぜなら、書くということは、書かなかったということだから。どうして、こんなことを書くのか、そもそも書いているのか、思っているだけではないか、だが手は動いている、その手を追うと字が見えてくる、そしてそれは連なり、文となる、そうか?そんな簡単なことさえ、しかし断定してはならない、いつまででも続くというのか、そんなものはないはずだ、ところかまわず蹴散らせばいいことだ、紙を破ればいいことだ、そして最初に戻る、そこにはまだ人はいない、気配はする、振り返る、そのものの影がある。