「南無疾翔大力、明らかに聞け、明らかに聞け」

「きみはいつまでもそこにいた、そして耳を傾けている、ぼくはあなたを捨て、そのときの光が、いつまでもぼくを離さない、夕暮れが青い? 導き、果てるもの、体中がざわめく、きみは微笑んでいる、ぼくはいつもあきらめていた」

「もう少しで、届きそうだ、そう思ってから、何年も経って、気づいたら、いなくなっている。影がつくられるとき、その生成の瞬間が、わずかに揺れ、かえりそうもなくなったとき、わすれていたはずのことを思い出す、待って! 引きちぎれたもの、そのときの空気を知りたい、そのときのかなしみを、幾層にも織り混ぜて、たったひとつのこと、たったひとつの空白が決めること、間違っているのなら忘れればいい、あなたはいる、あなたはいない」

「ここに書かれたものはすべて、書かれていない。鏡にあなたが映らないように、砂が風に流されるように、海が音を吸い込むように、最果てはいよいよ黒く淀む、助けたかったあなたをわたしは見失っている、死後硬直のように、氷のように、わざとらしい身振りのように、肉体と肉体が結ばれるように、返事をしないように、結論がないように、声がそっと聞こえるように、朝から夜にかけて、燃える日々の破片が割れて、音を立て、限界にまで達しようとする、人々は群れることを忘れる、空を見ることを忘れる、もう無理」