失ったものを、失わない。そのことだけがぼくをすくう。でも、失ったんだ。
遠くで山が銀色に光っていた。そんなことってあるか?
なにもする気力がない。損ない続ける。永遠に損ない続ける。
なにかことばを口にするといい。たとえばりんご。ひとつのりんご。完結されたもの。でも、ぼくのイメージのせかいでそれは、破裂する。
なにもかもが焼夷弾のように爆発する。炎が降ってくる。ぼくはそれを浴びている。
なにもくることがない。なにもすることができない。それなのにぼくは活動するのか。それなのにぼくは狂いたいのか、まだ。