自殺した。美しくなった。きれいになった。かさぶたが取れた。血が流れて、川になった。川のなかにいると、ひかりが大切になった。ひかりとともにいた。空が割れて、うみが出てきた。その汁に、舌を伸ばす、わたしにはわからない、そうかもしれない。それならいい、ぼくにもわからないから。傷ついたりしない、強靭な心を持ち、何事にも耐えることができる、そんな幻想を抱いていた、ぼくはぼろぼろだった。苦しそうだった。でもほんとうに苦しいのか、ぼくはぼくではないからわからない、それでもわかった気がしたりすることがあって、そんな感じを川にまで運ぶんだ。川は真っ赤で、それは夕暮れ? 犬が鳴いて、口笛を吹く、それでもいいと声がする、それでもいい、それでもって? どうして、彼なんだろう、どうして、ぼくじゃないんだろう、どうして、ぼくは病なんだろう、割れてしまえばいい、脳髄がこぼれる、乱れればいい、楽しみは消える、泣き叫ぶ声になる、誰かのために、それは自分のためではなくて、でもそれでよくって、ひかりから、失われたものを手にして、かわいいねって、わたしにはわからなくて、それをあなたに伝えたい、あなたならわかってくれる、ほんとうに? ほんとうだよ、ぼくはわたしをわかる。ひかりを守り、ひかりから守る、ひかりはおそろしく、美しい。風が吹いた。それはぼくのためのものだった。傷つくわけがない、そんなことで、って、言うんだ。支離滅裂じゃないよ、治るまでって、そんなこと! これは恋愛じゃない、もっと深い何かだ、それが大切なんだ、その深い何かに包まれて、あなたに向かってことばを発する、苦しくなってもいい、ひかりから、遠く離れても、わたしは平気、ぼくは平気、血を流しながら、川を見て、ああこれがわたしたちの血なのだと、空は夕暮れ、果ては果て、散らばる結晶のような小石、それを大切に持つ、他のことを忘れようとしながら。