2019-01-01から1年間の記事一覧

静かに削られてゆく音がする、ひりひりと痛むような、血が滲み出るような。

あざやかに切り取られた魚の首を、なまなましく見つめた少年は、修理不能な機械とともに暮らしている。

おそろしいものを書けるんだね……空が、真っ赤に熟れている。光のような糸がそこから降りてきて……静かなその糸を折りたたむ。難しいことはない、何ももとめていない、ただ通り過ぎるだけで……幻視が待ち構えている、すべてはもっと複雑に構えているのだと……鳥…

ぼくはいま、小説を書き、詩を書き、絵を描き、詩を筆写し、ヨガの呼吸法とアーサナをし、歩き、走り、写真を撮り、歌をうたい、本を読んでいる。今年の6月1日から段々とこれらのことが始まり、いまはそのすべてを習慣化している。病を創造のエネルギーとし…

じりじりと削れてゆく、意図的な拝借を無視して、そこで行われているのは隠微な結合だ、魚や鳥が混ざり合う、出会いは少ない、だが未来を保証できるわけでもない、発散ができればいい、無理心中する必要もない、生きた証が欲しいだけだ、でもそれは無駄なこ…

手が腐ってゆく、その手でひかりに触れる、あたたかい、でもつめたくもある、その手できみに触れる、きみは微笑んでぼくの手を取り、口づけをする、ぼくの手は落ちてしまった、体から、そしてぼくの内部が漏れ出してゆく、やがてそれは氾濫になり、とめどな…

ちいさくてきれいで、まるくてつるつるしている。それをてにとって、くちにふくむときもちいい。そらがはれわたっている、くもがちぎれてきえそうになっている、そのままぼくのちからがぬけてゆく。からだがなくなってゆくきがする。きじゃない、からだがな…

ざらついた感触のただ中で、きみが血を吐き出している、その通りのままに、血は流れてゆく、きれいなものや汚いものを通して。そして栄光が開かれる、万物は流転しながら、時計じかけのオレンジさながらに、蛍光色が散りばめられて。竜王は語る、アソファキ…

夢を見つめる、意図的な背景を無視して、そこに開かれているのはわたしの心臓、変わらないものの石、操作的面、重要度は変わらない、かすかなうねり、形容詞の剥奪、さまよう言語、そこら中にばら撒かれて。 さらばと言おう、この古びた町を捨てて、かれは空…

そう、どこからか電話のベルの音がして、目を覚ましたぼくらは、いつのまにか月の話をしていた。そうして過ぎてゆく時間のなかで、目に見えないものを触ろうとして、それは拒絶され、あえなく失速し、意気阻喪し、重要文化財の隅から、時計が跳ねてやってき…

誰にでも会いに行けるようになりたい。電話ができるようになりたい。本を読み耽られるようになりたい。一日中小説を書けるようになりたい。一人になれるようになりたい。人のためになりたい。

人のために

人のためになるだけの力が今のぼくにはあるのか。ぼくは無理をしていないか。

「もう一人のわたし」と「わたし」

「もう一人のわたし」による「わたし」への介入によって、「もう一人のわたし」が「わたし」に打って変わることはあるだろうか。その場合、どのような介入が必要だろう。現状の圧倒的な自覚か。「もう一人のわたし」の圧倒的な自覚が、「わたし」と一致した…

「わたし」と「もう一人のわたし」

「わたし」と「もう一人のわたし」を区別して考えなければいけない。病むのは「わたし」だ、「もう一人のわたし」ではない。「もう一人のわたし」が、「わたし」を分析することが出来る。「もう一人のわたし」が、「わたし」を助けることができる。でも、ど…

だめだね

だめだね、ぜんぜん、ぼくは。むかしのようにはなれないね。でもしかたない、それがいまのぼくのげんかいなんだから。そんなことをかんがえていると、しにたくなる。しんでしまいたい。もちろんしんだりしない。ぼくはたすけたいとおもっている、ほんとうは…

自分を壊してでも

ぼくは自分を壊してでもあなたのためになりたい。

やさしい君へ

やさしい君へ どんなことがあってもそばにいてくれる、わたしを見守ってくれる、ぼくにとってそれは力だ。あたたかくてやわらかい。でもしっかりとしていてぼくを離したりしない。わたしが最悪な状態になったときに、回復を手助けしてくれるのは君だ。ぼくは…

安心して、目をつむって。

気がかりなことがあっても、音に導かれて、眠ることが大切だ。きっとやさしい夢を見るだろうから、安心して、目をつむって。好きだった人たちが、やわらかく包んでくれる。大丈夫。おやすみなさい。

調子が悪い理由

ぼくはなぜ調子が悪いのか、その理由を解き明かしたい。その鍵となるのは、自分が書いた小説にあると思う。小説には、ぼく自身の問題が無意識のうちにあらわれる。だから、批評的なまなざしで読み返す必要がある。

晒されながら書くということ

晒されながら書くということに、我慢がならない、反応があることに謙虚になる、可能性だけを求めて、実情はいらない、だから多かったものを少なくする、すると書き方が最初の頃へと戻ってゆく、それでいい、それがいい、だから君たちはいらないよ。

知っているんだ

知っているんだ、ぼくが八十になってよぼよぼで死にかけているところを。

今のぼくのこの状態を

今のぼくのこの状態を言葉であらわすことはできるだろうか。たった一人であるはずのぼくの中に、他の無数のぼくが入ろうとしている、ぼくは抵抗するために横になって目をつむる、すると体から無数のぼくが離れてゆく、それを繰り返している。ぼくは眠ってい…

『カラマーゾフの兄弟』と『エックハルト説教集』

何も書くことがない気がするが、書いてみることにする、ぼくはいまドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を読んでいる。上巻の半分を超えた辺りだ。『カラマーゾフの兄弟』には文体というよりも思考そのものが裸になって放り出されているので、思考する…

『カラマーゾフの兄弟』

毎日何千字と小説を書いている。今書いているのは未熟なものだ、体の奥底に埋もれた人物たちの関わり合いを体から出し切るために、それがどんなに粗雑であっても、支離滅裂で破綻しようとも、溢れるままに書き続けている。 今読んでいるのは主にドストエフス…

『カラマーゾフの兄弟』と『建設現場』

『カラマーゾフの兄弟』を読んでいる、面白いが、どんな感想が書けるだろう、上巻を180ページ読んだところだ、フョードルが道化を演じてスキャンダルを起こし終えた場面。ここで分析をしてみるか?しかしそんなことをしたことでどうにもならない、今のと…

調子が悪い。午前中に『カラマーゾフの兄弟』を読みすぎたからかもしれない。ぼくはわたしだ、わたしはあなただ、だからぼくは死なない、と小説の中で書いたからかもしれない。『灯台へ』を読んでいるときは心理と自然描写を書いていたが、『カラマーゾフの…

眠くてあと数分で眠るだろう、それまで見たことのある河川敷を通って、テレビに映ります、気温の変化に耐えることができなかった虫たちは死に、

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』を読み始めた。ぼくは体調によって読める小説と読めない小説があることがこの数日で分かってきた、ガルシア・マルケス『族長の秋』は読むことが難しい、名詞的な言葉の塊が次から次へと押し寄せて、頭が破裂しそうに…

ここのところ考えていることを書いてみようと思う、といってもまとまりのあることを考えているわけではない、そもそも何も考えていないのではないか、こうして書き出してみるまで何か考えたことが浮かび上がってきてはいない、それでも書くことができる、何…

ベケット『モロイ』

ベケット 『モロイ』について、ぼくは何かを書けるだろうか、持っているのは30ページ分だけ、それを何度も読み返している、何度読んでも分からないところは分からない、ただ文体が体の中へ波のように入り込んでくる、ベケットを理解するには、ベケットのよ…